Jüdisches Museum Berlin

ユダヤ博物館が正式に開館したのは2001年ですが，すでに1989年以前に当時の西ベルリンに設立する構想はすでに立てられていました。それまでは，1960年代にときおりユダヤ関連の展示会が開かれるだけで，ユダヤ博物館はひとつもありませんでした。   1971年のベルリン・ユダヤ教会300周年を機に，ユダヤ博物館設立の構想が持ち上がりましたが，多くの在ベルリン・ユダヤ人は，1938年に強制的に閉鎖されたユダヤ教会に博物館を設けることは望みませんでした。ユダヤ博物館としてではなく，ドイツ・ベルリンの長い歴史におけるユダヤ社会との関連を学術的に示す場が必要との見解だったため，長年の構想計画を要しました。 ホロコースト以前と以後，西ベルリン時代とベルリンの壁の崩壊以後など，近年の歴史の流れと共に，展示の内容についても多くのユダヤ人たちの討論が繰り返されたようです。 ユダヤ博物館では，歴史上の多くの著名なユダヤ人をはじめ，ベルリンのユダヤに関するドキュメントが展示されています。   ユダヤ人社会というのは日本人にはなかなか理解がむずかしい領域ですが，我々がまだ実感できる戦前のベルリンに居住していたユダヤ人は多く，特にアメリカに亡命して世界的に有名になったドイツ人の中に，ユダヤ系が非常に多いことに驚きます。   アインシュタインなどは知らない人はいませんが，先週亡くなったマイク・ニコルズ監督もベルリン生まれのユダヤ系ドイツ人だったとは意外でした。やはり20世紀初頭のベルリンの精神的・芸術的文化は，華麗かつ優れた多くのユダヤ人がいたからこそ，栄えていたのです。